吉本興業のTOBが成立

ワールドやユー・エス・ジェイなどの流れによるもので、段々と上場しているのが辛いという会社が増えて来たのかもしれません。

やはり株主がどうしても強くなり、また定期的に配当も出していかなければならないなど、経営に制約が色々とかかるため、どうしても利益を確実に出している会社にとってみたら、上場している意味がなくなってきているのでしょうね。

もちろん儲かっているという前提が必要になってくるのですが。

今年の吉本興業株主総会前田五郎氏の事件についての会社側の対応で、紛糾しかけたが、上から半ば押さえつける形で株主総会終結させたことが報じられたばかり。

お笑いブームは、まだしばらくは続くでしょうし、吉本興業自体がお笑いだけでなく色々な多角事業に乗り出しており、株式市場に上場している意味合いというのが、なくなったのだと思います。


投資会社「クオンタム・エンターテイメント」による吉本興業の株式公開買い付け(TOB)が成立し、吉本は昭和24年以来、60年にわたり続けてきた上場を終える見通し。今後は民放テレビ局や通信大手などと資本・業務の両面で手を組んで次代の成長の糧を模索することになる。しかし、TOB実施期間中に個人株主から提訴を受ける波乱もあり、上場企業で相次いでいる「非上場化」の流れに一石を投じる形ともなった。

クオンタムにはフジ・メディア・ホールディングスの15・79%を筆頭に在京民放テレビ局5社や通信大手のソフトバンクやヤフー、広告最大手の電通創業家の関連会社である大成土地などが出資。クオンタムが現在の吉本を吸収合併後に誕生する新生・吉本では、出資企業が主要株主の座を占める。

将来の成長戦略として吉本は、大口出資者となるテレビ各局や通信各社などとの連携を強め、番組や動画などのコンテンツをテレビのほか、携帯電話やインターネットなどで多面的に活用して収益増大を図る「マルチユース」戦略を加速。経済発展が著しく娯楽産業の拡大が見込めるアジアへの進出もうかがう。

「新たな吉本興業とメディア各社との業界を超えたパートナーシップを確立することは、日本のメディア産業発展のための大きな第一歩」。クオンタムの出井伸之社長はこう強調した。吉本興業の社名を維持し、現在の首脳陣が引き続き経営を担う方向で、「吉本の本質的価値は維持しつつ、企業価値を向上させる」(出井社長)ことを目指す。

だが、今回のTOBをめぐっては一部株主から“冷や水”も浴びせられた。

TOBが実施されているさなかの今月19日。非上場化は少数株主の地位を一方的に奪うとして、個人株主19人がクオンタムや吉本などを相手に、全株取得に必要な株主総会での定款変更決議の差し止めなどを求めて大阪地裁に提訴。吉本は「違法・不当な事実は一切ない」と反論したが、思わぬ溝が浮き彫りとなった格好だ。

アパレル大手のワールド(神戸市中央区)や映画テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ、大阪市此花区)を運営するユー・エス・ジェイなど、ここ数年は関西地盤の上場企業の間でも、経営陣による自社買収(MBO)の手法を通じて、あえて自主的に市場を退場する動きが相次いでいる。

吉本のTOBは、経営陣が自ら出資しないため正確な意味ではMBOにはあたらないが、会社を非上場化するとの目的は同じだ。

ある証券アナリストは「非上場化の流れが加速するとは思わないが、経営戦略上の選択肢として上場企業の経営者に認識されてきているのは確かだ」とした上で、「非上場化後も、必要最低限の情報公開を行うことや、上場していたときに市場から常に監視されていた緊張感を忘れないことが大切になる」と指摘した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091031-00000505-san-bus_all